第12回 高知国際版画トリエンナーレ展鑑賞記
第12回 高知国際版画トリエンナーレ展 オープニングセレモニーに出席した。
少し早めに館内に入り、展示作品を鑑賞しながら会場を回ったのだが、目に入る1点1点の作品がどれも素晴らしい。
完成度の高さ、卓越した技術、創意工夫、そして何よりも絵の源であるテーマ、それをどう表現するかの表現力、これらすべてが高いレベルに達している優れた作品だ。
会場を回っていれば、いずれ私自身の作品を目の前にする。その時、以前何度か経験した心が折れる・滅入る・深い谷底に落ちていく、そんな精神状態になってしまうのではないかと心配しながらゆっくり会場を回った。
目の前の作品に心を奪われながら、その一方で不安を抱えながら会場を回っていると、とうとう自身の作品に対面してしまった。
結果、なんとか平常心が保たれ、心が折れることはなかった。良かった。
作品は静かに佇んでいた。
モノトーンの単調な作品なので、主張性は薄く目立たないのだが、それがかえって自分らしく思え、変に納得してしまった。
回りがどうであろうと、そこに静かに佇んでいる作品。私はそんな作品を求めているのかもしれない。
(入選作はギャラリーに掲載した、「Belt of grace」)
さて、会場は高知県吾川郡いの町にある、いの町紙の博物館で行われた。
この博物館は仁淀川沿いに立地している。私は午前中、バスで仁淀川上流にある名越屋沈下橋まで行って橋を渡った。
私は作品のテーマに「橋」をよく使う。従って橋は好きなのだが、この沈下橋は怖い!。
ご存知の方も多いいと思うが、沈下橋には手擦りがない。高所恐怖症の私には渡るのが大変だった。
その上、なんと車まで渡ってくる。私は橋の端に避けたいのだが、怖い。少しだけ端により、しゃがんでしまった。(笑)
運転している方はきっと笑っているだろうと思ったが、案の定笑っていた。(笑)
でも、すれ違いざまに会釈をしたので良い人だ。
やっと渡って、そこから川辺に出てみた。川は美しく、周りの山も美しい! 日本で美しい川のベスト3に入るそうだ。
しばらく見とれていたが、会場へ行かなければセレモニーが始まってしまう。バスに乗るにはまた沈下橋を渡らなければならない。
怖い! 子供の頃は、橋の欄干に登って遊んでいたのに・・・。
橋には欄干や手擦りがあるものと思っていたが、ただ道だけの橋もある事を知った。
怖い思いをしたのだ。ただでは済まさない。いつか作品に活かそう。