第9回山本鼎版画大賞展入選
長野県上田市で開催されている第9回山本鼎版画大賞展を観てきた。
このCOMPETITIONはTRIENNALE(3年に1度)形式で開催され、非常にレベルの高い版画展である。
今回、初めて採用された平置きの作品(立体)も、募集対象になり、大賞はまさにその立体作品が受賞した。
この作品は遊び心が感じられ、小さなお子さんからも受けること間違いなしの楽しい作品だ。
その他の受賞作品も素晴らしい作品であることは言うまでもない。
最近、このような非常に高いレベルの展覧会を見るたびに、ある同じ感想を持つ。
それは、技法の多様化と複雑化である。
以前は、目の前の作品がどのような技法でどのような工程を経て出来上がってきたのか、ある程度読めたのだが今回拝見した作品には、読み切れないものが大半であった。
技法そのものが私の知らない未知の世界に変容しているのだろう。
また、作者は技法だけに傾注しているのではなく、その技法と表現したいテーマとの融合を意識しているようだ。
こんな素晴らしい展覧会を見ていると、自身の作品の単純さに少々自己嫌悪気味になる。
しかし、私にはそれしか出来ないし、それでいいと思っている。
「もともとお前は、足算ではなく引算の美を求めている」のではないかと、自分に言い聞かせている。
そんな訳で、単純な木版画である私の作品も末席ながら展示され、幸せに思っている。審査員の方々に感謝だ。
会期と会場:サントミューゼ上田市立美術館2階展示室 2024年9月28日~11月17日 火曜定休
祈る行為は人類の誕生とほぼ同時期に発生していたのではないだろうか。
古代人も現代人も、人は祈らずにはいられない状況に出合う。
そんな、宗教以前の人々の祈る行為を単純化して「何かに向かって歩く人たち」という形で表現した。
悲しみを抱えながら歩く先に見えてくるものは、どんな風景だろうか。