版画家は画家。

私は版画家ですが、それ以前に画家でなければならないと考えています。当たり前のことと思うかもしれませんが私のような怠け者の版画家は、意外と絵を描かないのです。
簡単なラフスケッチを元に制作にとりかかり、作品を完成させるのです。
それが全て悪いこととは言いませんが、私はそこに落とし穴もあると思うのです。
多色版画であれば、作者は摺りの都度ある感銘を受けながら制作が進みます。
その感銘は実は作品そのものの本質とは無縁で、版を仲介して摺り取られた時の単純な驚きに機縁しているのです。ここに埋没してしまうと落とし穴に入ってしまうような気がします。
私は常々版画家は、それ以前に画家でなければと自分自身に言い聞かせています。
ラフスケッチでも構わないのですが、作品になったときにそれが本当に作品(芸術)として成り立つのか十分な検証が必要でしょう。
一般的に版画は本絵(油彩画、日本画、水彩画など)より、1段下に見られています。
私はある意味それは正しいと思っています。
そうならないために、日々絵を描くこと、絵画としての作品を制作することが、重要です。
版画家である以前に、画家でなければいけません。
以上、頻繁に落とし穴に入っている私自身のための、悔い改めの文です。
若い時に勉強した油彩画を、たまには描かなければいけないなと、思っているのです。

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